情報通信技術の発達は社会のさまざまな側面に影響を与え続けており、教育もその例外ではありません。昨今はAIが大きな話題となっており、人々の生活や働き方に対し近い将来さらに多くの変化が起きることが想定されています。人々が社会で生きていくための能力観、社会が求める人材像にも見直しが生じており、それに伴い教育も変革期を迎えています。

日本でも次期学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」を実現する方向性が明確に打ち出され、何を学ぶかだけでなく、どのように学ぶか、そして何ができるようになるかが問われています。この実現には、教員から知識を受けるスタイルだけでなく、ICTを生かした教育環境を活用し、主体的にこの環境に働きかけ、知識を創出し、協力して問題を解決する新しい学習スタイルが求められます。

学び方の変化は初等中等教育にとどまらず、高等教育や生涯学習を含む社会全体において、誰でもいつでもどこでも、ひとりひとりに適した方法で学べることが望まれます。限られた予算や人的資源を適切に生かし、経済格差や地域格差を教育格差にしない、子供も大人も誰もが学んで成長できる活力ある社会を作り上げて行かなければなりません。

教育の情報化を進めて行くためには、学習者や教育者だけでなく、教材や教育環境を含むさまざまな教育関連サービスの提供者、教育機関の設置者、教育政策の立案・実行者、研究者など、多様なステークホルダーの力を結集する必要があります。ICTを活用した教育環境を整備するだけでも、教育の世界だけでなく、デバイスやネットワーク、教科書・教材などのデジタルコンテンツ、コンピューターシステム、セキュリティなど、さまざまな専門分野の知恵を集めてまとめ上げることが求められます。

ICT CONNECT 21 は、「学習・教育オープンプラットフォーム」に関連する技術の標準などを策定し、その普及を図り、教材コンテンツや教育ICTサービスなどの流通や利活用を促進することを目的として、2015年2月に任意団体として設立されました。ハードウェアやソフトウェア、教材などの提供企業が集まるだけでなく、教育工学やe-learning、デジタル教科書・電子出版や自治体情報化、クラウドやアクセシビリティなど、教育の情報化に関連するさまざまな分野ですでに活発に活動をされている多くの業界団体の方たちとアライアンスを組み、ネットワーク・オブ・ネットワークスを構成して活動してきました。また、先生方や教育委員会、NPO、EdTechと呼ばれるベンチャー企業、塾などの私教育の事業者など、教育の情報化に貢献しようという意思を持つすべての人や組織に門戸を開き、オープンな運営を心がけてきました。目指すべき姿を描き、教育の情報化を推進して行くためには、強い意思と深い知恵を持つさまざまな人と組織をconnectする必要があるとの思いから、このような組織形態にたどり着いています。

  

このたび、これをもう一段発展させ、さらに活動を深めるために法人化を行い、一般社団法人ICT CONNECT 21 として再出発することにいたしました。新たな法人は、これまで教育の情報化に尽力してこられた現在のICT CONNECT 21会員のみなさま方はもちろんのこと、情報通信技術を使って教育をより良くして行こうという意思のある方々にこれまで以上に幅広くご参画いただき、ネットワーク・オブ・ネットワークスをさらに広げていきたいと考えています。そして、中央省庁ともパートナーシップを組み、日本における教育の情報化の推進役を果たす所存です。

transition

21世紀の社会は、これまでの教育パラダイムが大きく変わる社会になります。教員の力量、教育の内容や方法などが、当然ながら教育の大きな要因であることは間違いありませんが、さらに教育環境、特にICT環境や技術進歩、子供たちのコミュニケーション環境の変化が教育の質に大きなインパクトを与えつつあります。つまり、これまで外部要因と考えられた要因がむしろ重要で、子供たちは直接にこれらの環境と関わって学んでいることに注目しなければなりません。
この意味で、世界各国は、ICT環境を重視しながら、教員から知識を受けるスタイルから、自主的にこの環境に働きかけ、知識を創出し、問題解決するスタイル、すなわち、21世紀型能力を育成する教育モデルを探求し始めています。
「ICT CONNECT 21」は、世界に後れをとらないように、以下のような目標を実現することで、未来を生きる力強い人材を育成することを、民の立場から支援しようとするものです。


学習・教育オープンプラットフォームを実現するため、業界全体を巻き込んだ体制作りと、そこで実施すべきテーマの具体化を図るとともに、これを着実に実施し、教育情報化の普及促進につなげていく。また21世紀型スキルの育成に向け、あるべき教育ICTの利活用モデルを検討し、標準化やその普及について、学習者/教員や教育機関/企業/社会のそれぞれの視点を踏まえて適切な実施方針を策定する。

協議会の活動により教育の情報化が進展すると…

学習者にとって:

  • 操作性がある程度統一され、操作方法を覚える負担が減る
  • 多様なコンテンツやツールが利用可能になる
  • 自分自身に合ったコンテンツやツール、学びを選択しやすくなる

教員や教育機関にとって:

  • 多様なコンテンツやツールが利用可能になる
  • コンテンツやツールが連動して機能し、教えやすくなる
  • 自動化される部分では仕事量が減り、児童生徒と向き合う時間を増やすことができる
  • 授業運用や事務処理の手間が減る
  • システム導入と維持のコストが下がる

企業にとって:

  • 自社ですべてを研究開発する必要がなくなり、開発コストが減る
  • 他社の製品やサービスと連動させて、多様なソリューションが提供可能になる
  • 新規分野への参入が容易になる
  • 新たな事業領域が広がる

社会にとって:

  • 21世紀型スキルに代表される現代に必要な素養をより身に付けた人材が増える
  • 保護者から子どもの学校内での様子を把握しやすくなる
  • 国際標準に則ることによって日本の教育システムの海外への展開の可能性が増える