ICTの発展は社会のさまざまな側面に影響を与え続けており、教育もその例外ではありません。政府は2010年代中に初等中等教育のICT環境を整備することを目標に掲げており、学校では電子黒板やデジタル教科書の利活用が広がっています。生徒1人が1台のタブレット端末を持ち教育に活用する学校も増えつつあり、反転授業などの新たな試みも行われています。学校では授業の場だけでなく、校務と呼ばれる教職員の業務にもICTの活用が進みつつあります。

また、塾に通わなくてもオンラインで家庭学習が可能なさまざまな教育サービスも登場し、教育の地域間格差を埋める一助になっています。さらにEdTechと呼ばれるICTを活用した教育分野のベンチャー企業が多数現われ、アイデアとサービスを競い合っています。高等教育の世界でも、大学の講義の公開から始まったオープンコースウェアの動きはMOOCsという形態に進展し、いまでは世界中の人々がインターネットを通じて大学の優れた授業を受けることができるようになっています。この動きは、企業の研修や生涯学習にも影響を与えています。

これからますます、誰でもいつでもどこでも学ぶことができる、分かりやすく使いやすい多種多様なデジタル教材やツールが利用可能になることが望まれます。ICT環境を活用した学習方法の発展は、学習行動をデータとして記録することを可能にし、その分析によって学習者個々に適した学習内容や方法が提供できるようになることが期待されています。一方で、学習者個人の認証方法や学習記録データを適切に保持して活用する方法の確立、ユーザビリティやアクセシビリティの向上、コストの低減など、 数多くの課題も残されています。

それぞれのシステムや教材がバラバラに機能するのではなく、適切な標準化が行われて、同じフォーマットや操作方法を共有してお互いに連携すれば、より大きな効果を生むことが期待できます。競争分野と協調分野を適切に切り分け、相互運用性 (インターオペラビリティ) を確保しながら健全な競争環境を形成していくことが求められます。標準的な方法の確立は技術に留まらず制度や運用にも求められ、その意義を関連業界のみならず、教育機関や行政、ひいては社会全般に対して広め、普及させていくことも必要になります。

そこで、日本の教育の情報化に関わるさまざまな団体や企業、有識者が結集し、省庁とも連携しながら議論を深めてビジョンを共有し、標準を策定してその普及を図る、「ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)」を設立することとしました。

transition

21世紀の社会は、これまでの教育パラダイムが大きく変わる社会になります。教員の力量、教育の内容や方法などが、当然ながら教育の大きな要因であることは間違いありませんが、さらに教育環境、特にICT環境や技術進歩、子供たちのコミュニケーション環境の変化が教育の質に大きなインパクトを与えつつあります。つまり、これまで外部要因と考えられた要因がむしろ重要で、子供たちは直接にこれらの環境と関わって学んでいることに注目しなければなりません。
この意味で、世界各国は、ICT環境を重視しながら、教員から知識を受けるスタイルから、自主的にこの環境に働きかけ、知識を創出し、問題解決するスタイル、すなわち、21世紀型能力を育成する教育モデルを探求し始めています。
「ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)」は、世界に後れをとらないように、以下のような目標を実現することで、未来を生きる力強い人材を育成することを、民の立場から支援しようとするものです。


学習・教育オープンプラットフォームを実現するため、業界全体を巻き込んだ体制作りと、そこで実施すべきテーマの具体化を図るとともに、これを着実に実施し、教育情報化の普及促進につなげていく。また21世紀型スキルの育成に向け、あるべき教育ICTの利活用モデルを検討し、標準化やその普及について、学習者/教員や教育機関/企業/社会のそれぞれの視点を踏まえて適切な実施方針を策定する。

plan

協議会の活動により教育の情報化が進展すると…

学習者にとって:

  • 操作性がある程度統一され、操作方法を覚える負担が減る
  • 多様なコンテンツやツールが利用可能になる
  • 自分自身に合ったコンテンツやツール、学びを選択しやすくなる

教員や教育機関にとって:

  • 多様なコンテンツやツールが利用可能になる
  • コンテンツやツールが連動して機能し、教えやすくなる
  • 自動化される部分では仕事量が減り、児童生徒と向き合う時間を増やすことができる
  • 授業運用や事務処理の手間が減る
  • システム導入と維持のコストが下がる

企業にとって:

  • 自社ですべてを研究開発する必要がなくなり、開発コストが減る
  • 他社の製品やサービスと連動させて、多様なソリューションが提供可能になる
  • 新規分野への参入が容易になる
  • 新たな事業領域が広がる

社会にとって:

  • 21世紀型スキルに代表される現代に必要な素養をより身に付けた人材が増える
  • 保護者から子どもの学校内での様子を把握しやすくなる
  • 国際標準に則ることによって日本の教育システムの海外への展開の可能性が増える