このたび、ICT CONNECT 21の会長を拝命いたしました山西です。身に余る大役に、身の引き締まる思いでおります。

 ICT CONNECT 21は、情報通信技術(ICT)を活用して、教育の質をより一層高めることを目指し、官・民・学・地域をつなぐ “開かれたプラットフォーム”として、多くの皆様に支えられながら歩んできています。GIGAスクール構想も5年が経過しました。学校での一人一台端末や高速ネットワーク環境の整備充実のもと、次代を生きる子供たちのため、情報活用能力はもとより、自律的な学びを育てる新たな教育が進んでいます。この6月には、「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」という教育D Xのミッションの実現を目指した国の教育D Xロードマップ2.0が示されました。多様な学びのための学習環境の整備、教育データによる学習者の自己理解への支援や教師の指導の充実、校務・事務負担の軽減といった働き方改革など、来たるべきデジタル社会を見据えた教育改革です。

 しかしながら、現状に目をやると、ハードウェア整備は進むもの、その利活用に関しては、地域間格差や学校間格差がまだまだみられます。イギリスの教育学者Michael Barberは、子供たちが活躍する20年後の社会を見据えた教育と先生や保護者が受けた20年前の教育とには40年のギャップがある「教育改革40年ギャップ説」を唱え、既存の価値観から新たな価値観へのパラダイムシフトの重要性を説いています。ICT、とりわけAI等の急速な進歩の中で、学びや教育のあり方も変わるという意識変容が求められているのです。あらゆる分野でD Xが叫ばれ、従来行っていたアナログをデジタル化するデジタイゼーションで業務の効率化や質向上が図られていますが、授業にせよ校務活動にせよ、教育データの利活用で次世代の学習モデルや教育モデルを開発し、新たな価値を創出するデジタルトランスフォーメーションへと進めたいものです。

 こうした時代においてこそ、本団体の果たすべき役割はますます重要かと思います。キーワードはCONNECTです。国や地方教育委員会、学校の先生、研究者、企業や各種団体など、教育の情報化でより良い教育を志す皆さんをつなぎ、多様な立場の知見と情熱で、次代を担う子どもたちの未来に資する活動に、皆さんと共に力を尽くしていきたく思います。

 今後とも、より一層のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

一般社団法人ICT CONNECT 21 会長 山西潤一