学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第3回、1/25)議事録
1月25日に開催された、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第3回)の議事録が公開されました。
以下、注目すべき発言を掲載いたします。
「エビデンスについては、ICT活用の実態調査についてというところでございますが、いわゆる先進校だけではなくて、日常的にICTが活用されている学校も含めていただきたいというようなこと、また、課題の提示、情報の収集、整理、分析、発表資料の作成、振り返り、発表といったサイクルのどこでICTを活用したのかという観点があるとよいというような御指摘、また、授業におけるICT活用実態については、指導案の分析からだけでは見えないところがある。タブレットだったら、タブレットの画面を見て、子供たちが何を見ているのか把握するなどの調査上の工夫が必要ではないかというような御指摘も頂いているところでございます。」(文部科学省松本課長補佐の説明より)
「(デジタル教科書の)最終まとめにおいては、デジタル教科書の導入を含めまして、調査研究による知見を蓄積しながら、段階的かつ慎重に導入を進めていくのが適当であるとした上で、紙の教科書の内容を過不足なくデジタル化したもの、この3ページ目の資料にイメージ図がございますが、こういったものをデジタル教科書とした上で、教科の一部の学習に当たって、先ほど申し上げました教科書の使用義務の履行を認める特別な教材として位置付けることが適当とされております。ただ、三つ目の菱形のところでございますけれども、障害のある児童生徒にとってみますと、その障害の内容や程度によっては、紙の教科書による学習というのが困難である場合もあることも踏まえまして、そういった児童生徒のうち、デジタル教科書の使用による学習が効果的である者に対しては、より積極的に使用することを可能とするということが望ましいとされております。」(文部科学省宇高課長補佐の説明より)
「この会議体はデジタル教科書の位置付けを検討する会議ですので、デジタル教科書をどう作るかとか、どう標準化するかとか、どういうふうに流通させるかとか、そういうことを検討する一つ前の、どういう制度が変わらないとどの辺が大変になるかみたいなことをいろいろ明らかにするというものでございまして、教科書課が非常に事務局としてしっかりやっていただきまして、ようやくここまで来たというところでございます。」(堀田座長)
「これまでの学習指導要領の改訂の経緯、あるいは子供たちの現状を踏まえた上で、次期学習指導要領に基づき学校教育を受ける子供たちが社会に出て活躍をする2030年の社会を見通して、生きる力の育成に向けた教育課程の課題や、社会に開かれた教育課程の実現に向けた学習指導要領の改善の方向性を明らかにしていただいております。学習指導要領の改善の議論は、これまでは、ともすれば時代の変化に応じながら、何を教えるべきかということが中心でございましたけれども、今回はそこから進んで、何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、これを一体として考えていただく、まさに子供たちの学びそのものについて御議論を頂戴したものと考えております。
さらに、子供たちの学びを支える視点として、子供一人一人の発達をどのように支援するか、実施するために何が必要かということについても御議論を頂戴し、それを答申の第1部の章立てにそれぞれ反映いただいているところでございます。」(文部科学省石田専門官の説明より)
「今までの歴史を少しだけかいつまんで御説明をさせていただきましたが、何を申し上げたかったかというと、情報化社会に応じて、触るとか、なれ親しませるというようなことは昭和60年以降言われてきています。また、情報活用能力という観点からは、長いこと、この環境整備については議論をされているわけでございますけれども、その他の資質・能力、また教科で学ぶべき資質・能力について、ICTがどう活用できるのか、貢献できるのかということの記載というのは、これまでなかなかなかったというようなことで、今回、御議論いただきたいのは、まさにそこの各教科の中、また、その教科横断的に学ぶ資質・能力の育成にICTというのがどう使えるのか、ここについての議論を今回の第3回では集中的に御議論いただければと思っている次第でございます。」(文部科学省松本課長補佐の説明より)
「電子黒板は、先生が使うというイメージがあるのですけれども、割とつくばでは、デジタル教科書、指導者用デジタル教科書でも、子供が前に行ってデジタル教科書のところで説明をしたりとか、あるいは自分がまとめたことをそこに行って発表したりすることがあるので、割と教えるということよりも、子供たちの主体的な学びにも割と電子黒板は使っているというのがあります。」(毛利委員)
「 かつて常に言われているのですけれども、カルチュラル・ラッグというふうに言われて、学校はかつては最先端だったけれども、やがて我々が経験したように文化遅滞というふうに言われていて、遅いものだなんて。むしろ学校、我々はもちろん当然学校教育、大事ですけれども、子供は学校だけではなくて、社会のほかのところでも学んでいる状況になるわけで、その辺を視野に入れたときに、どういうふうに、もちろん予算と関わるのですけれども、もう少し夢があってなんて言うと怒られるかもしれませんけれども、その辺を是非今の意味も含めながら電子的なものにやっていけたらという思いはあります。」(生田委員)
「協動ということが今度の学習指導要領でとても大事なわけで、可視化することによって相手の考えていることが見える。しかも保存ができるわけですね。保存したものを再生できるし、分析がもう少し深くできるようになる。協動で分析ができる。それをやろうと思ったときに、ICTは非常に有効な道具になる。」(東原委員)
「先生がどうしてそういう授業が思い付いたのかみたいなことを聞いてみると、例えば「個人に合わせたペース配分、協同学習、プロジェクトベースの学習を含む生徒に考えさせる指導実践との強い関連性は、特異的な関連性を示唆しており」とか、あるいはそこの下の方の「生徒に考えさせる授業実践に対してより関心を示し入念に準備する教師が」みたいな、こういうような特徴を持った教師が実践しているということについて強く思うわけです。
そういうような実践の成立要因を考えると、やはり非常に子供を鍛えているのですね。コンピューターの操作もそうですし、そもそもの書く活動とか、話す活動とかを相当鍛えていて、数量的なこともですね。だから、数理とか言語とかの運用能力も極めて高くて、基本的なICTの操作もかなり習熟した上で、それらの能力を発揮する場面でICTを活用しているというところを目の当たりにしたときに、学習指導要領で理想的に書かれている資質・能力にかなり迫っている実践を見る感じがするのですね。」(高橋委員)
「東原先生や高橋先生にも関連する話ですが、こちらの方の答申に出てきているような育むべき資質・能力に向かって、ICTの活用について、いろいろと書かれていますし、いろいろな議論があったように、次期学習指導要領の理念の実現に向けて、そこに向かっていけるかどうかというところにすごく深く関わっていると思います。潤沢に環境整備できれば、もちろん近付けることはできるのですが、段階的整備ということであれば、イメージとしては、この理念を実現するために沿った形で整備していくことが子供たちのいわゆる学ぶ環境を保障していくことだと、そういう強い思いを持って、段階的に整備すべきとは思います。」(益川委員)
「現場での様子から、お話をしたいと思います。前もお話ししましたが、本校は今年度、いろいろICT環境を充実させタブレットの台数も増えました。最近、授業を見ていて、変わってきたクラスがあることに気付きました。すべてのクラスではなく、うまくまとめられないですが、子供たちの発言や班での活動の積極性などが、一歩進んだように見えるクラスがでてきました。先ほど高橋委員の話にあったように、そのクラスをのぞいてみると、ICTを使う前にいろいろな鍛えをやはりしていたのです。例えば、小さなホワイトボードを使って、伝え合いのことをやっていたり、自主勉強をさせるときには、調べ方やまとめ方を練習させていたりと。そこに、より自由に使えるようになったタブレットが入ってきて、分かりやすく説明できるように工夫したり、先生たちが今まで提示型ICTを使っていろいろ子供たちに分かりやすく説明していたのを子供たちは見ていて、そこから知らないうちに学んでいて、前へ出たら、上手にそれを使って説明するようになったりしてきました。」(水谷委員)
「ICTがなくてはできない学習活動と、ICTの活用が選択肢の一つであるけども、ないときより、あった方がはるかに有効であるものというものを整理して、それを段階的に整備を進めていくという説明をすると、財政当局も納得してくれるのではないかと思っています。エビデンスが財政当局と折衝するときに、必ずしもエビデンスが必要であるわけではなくて、今の時代を生きている人なら分かる感覚というのがあると思います。ですから、そこを整理するということをしていけば、全国の指導主事も整備を進めやすくなるのかと思います。まとめると、段階的な整備をどう進めていくかということと、何でもできる多くの機能を詰め込んだ汎用性の高いものよりも、意外にシンプルな機能のものを整備していくというのが、整備を進めやすいのかと思っています。」(柴田委員)
「ICTのいいところだけ提示すると、何かICTを使わなくてはいけないのではないか、ICTはこういう機能があるから、何か使わなくてはいけないのではないかということを思われてしまわないかという気がしていて、その前に、先生は子供たちにどんな資質・能力を付けたいかという目的を持って指導されていると思うので、その指導を実現するための一つの手段としてICTがあるということだと思いますので、まず何をしたいか、先生自身が何をしたいのか、そこを明確にすることが必要なのではないかと思いました。」(森本氏)
「どういう求められる能力とICTの関係があるかということを自分なりに考えてみたときに、教科等を超えて全ての学習の基盤として育まれ、活用される資質・能力というところで、特に私は「問題発見・解決能力等」と書かれてあるところに注目しました。やはり教師が課題を提示して、その課題に向かって子供たちが学習を進めていくということが学習指導要領の改訂の大きなポイントになるところかと思っています。」(山本委員)
「答申の教科・領域の強調点、そして、それを具現化するような学習活動、さらにそれを踏まえた上で支えるICTの活用をセットで整理するというようなことがこれから必要だと。それをここに書いてあるような、並べてある教科・領域をいろいろと出てくると、共通点と相違点が整理できるのではないかと。さらにはどこの単元、どこの学習場面で適しているかというようなことも浮き彫りになるのではないかというふうに思う次第です。繰り返しますけれども、ここの整理というのは非常に重要だと思った次第です。」(中川副座長)
詳細は下記Webサイトをご確認ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/037/gijiroku/1382677.htm
※当日配布資料は下記Webサイトをご参照ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/037/shiryo/1382338.htm