平成29年度文部科学省関連予算案

12月22日午前の閣議において決定された平成29年度予算につきまして、文部科学省「学力と人間力を備えた人材を育成するための教育再生の実現」関連分をご紹介いたします。
なお、「教育の情報化」関連分として、「平成29年度文部科学関係予算(案)のポイント」(←PDFにリンクします)では、「教育の情報化の推進(ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生)」として3億円(新規)と説明されています。
※( )内は平成28年度当初予算。
※初等中等教育関連部分は詳しく掲載いたします。

1.社会を生き抜く力の養成
(1)「次世代の学校・地域」創生プランの推進
①「次世代の学校」創生のための指導体制強化等 1,531,219百万円(1,533,503百万円)
「社会に開かれた教育課程」を実現し、複雑・困難化する教育課題に対応する「次世代の学校」の創生に必要不可欠な教職員の配置充実や資質能力の向上を図る。
※「次世代の学校」指導体制強化のための教職員定数の充実 (義務教育費国庫負担金) 等

②地域と学校の連携・協働に向けた改革 6,932百万円(6,832百万円)
学校を核とした地域力強化の仕組みづくりを推進するとともに、地域の活性化につながる多様な取組を展開することにより、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに一億総活躍社会及び地方創生の実現を図る。

(2)切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実 2,535百万円(2,043百万円)
インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進について、障害のある児童生徒等の自立と社会参加の加速化に向けた取組の充実を図り、障害のある児童生徒等が十分な教育を受けられる環境を構築する。
◆インクルーシブ教育システム推進事業 1,452百万円( 1,001百万円)
◆発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業152百万円( 新 規 )
◆特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業 237百万円( 56百万円)
◆学習指導要領等の改訂及び学習・指導方法の改善・充実 72百万円( 27百万円)
◆学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業 85百万円( 81百万円)
◆教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト 144百万円( 140百万円)

(3)いじめ・不登校対応等の推進 6,134百万円(5,716万円)
「ニッポン一億総活躍プラン」、教育再生実行会議(第一次、第五次、第九次提言)、「いじめ防止対策推進法」及び「いじめの防止等のための基本的な方針」を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応、不登校への対応、また、貧困や虐待を背景とした生徒指導上の課題への対応等のため、従来の「いじめ対策等総合推進事業」を拡充し、地方公共団体等におけるいじめ問題への対応、教育相談体制の整備や教育委員会・学校、関係機関等の連携による不登校児童生徒へのきめ細かな支援体制を整備等するとともに、夜間中学の設置促進等を図る。

(4)子供の体験活動の推進 101百万円(101百万円)
農山漁村等における様々な体験活動を通じ、児童生徒の豊かな人間性や社会性を育み、自己有用感を高め、将来のキャリアへの意欲を喚起する。「子ども農山漁村交流プロジェクト」として総務省、文部科学省、農林水産省が連携して事業を実施する。また、社会との関係の中で自己実現を図れるよう、青少年における自然体験などの多様な体験活動を推進する。

(5)道徳教育の充実 1,957百万円(1,460百万円)
平成27年3月に、道徳教育に係る学習指導要領等の一部改正を行い、これまでの道徳の時間を教育課程上、「特別の教科 道徳」(以下「道徳科」という。)と新たに位置付けるとともに、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものとする観点からの内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどを示した。
本改正は、道徳教育について「考える道徳」、「議論する道徳」へと質的に転換を図るものであり、これらを踏まえた道徳の指導が着実に実施されるよう、道徳教育用教材「私たちの道徳」を引き続き配布するとともに、改正学習指導要領の趣旨を生かした効果的な指導を行うため研究協議会の開催等を通じた教員の指導力向上を図る。さらに、「親子道徳の日」といった学校・家庭・地域の連携による道徳教育の取組の支援等を行う。

(6)全国的な学力調査の実施 5,252百万円(5,259百万円)
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、国・教育委員会における教育施策の成果と課題を検証し、その改善・充実を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立て、さらに、そのような取組を通じた教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するため、全国的な学力調査を実施する。

(7)教育課程の充実 3,024百万円(2,949百万円)
これからの時代に求められる資質・能力を育成する観点から、学習指導要領改訂等を着実に行うとともに、その理念を実現するため、教員の資質・能力向上方策とも連携しながら、「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の改善、高校生の基礎学力定着に向けた取組、理数教育の充実、現代的な課題に対応するための取組などを推進し、初等中等教育の教育課程の充実を図る。

(8)幼児教育の振興 38,426百万円(38,163万円)
幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることに鑑み、幼児教育無償化に向けた取組を段階的に進めるとともに、幼児教育の質の向上及び環境整備を促進することにより幼児教育の振興を図る。

(9)キャリア教育・職業教育の充実 2,076百万円(2,071万円)
小学校からの起業体験や中学校の職場体験活動、高校におけるインターンシップ等のキャリア教育を推進するとともに、農林水産高校等の専門高校(専攻科を含む)においては、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するとともに、中学生や保護者等の理解・関心を高めるための方策について調査研究を行う。
さらに、実践的な職業教育を行う専修学校における産学連携教育や「職業実践専門課程」に係る取組を推進し、専修学校全体の質保証・向上等を図る。

(10)情報通信技術を活用した学びの推進 588百万円(711百万円)
ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生に向けて、「教育の情報化加速化プラン」に基づき、教科横断的な情報活用能力の育成等に関する実践研究や教員のICTを活用した指導力の向上を図るとともに、ICT環境の全国整備に向けて標準化やICT活用教育アドバイザーの派遣など自治体支援を強化する。あわせて、教育の質向上と教員の業務改善の観点から次世代の校務情報化を推進する。
◆次世代の教育情報化推進事業 52百万円( 新 規 )
◆次世代学校支援モデル構築事業 138百万円( 新 規 )

◆情報通信技術を活用した教育振興事業 63百万円( 88百万円)
◆デジタル教科書の制度化に関する検討 14百万円( 2百万円)
◆ICTを活用した教育推進自治体応援事業 171百万円( 261百万円)
◆人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業 68百万円( 136百万円)
◆青少年を取り巻く有害環境対策の推進 50百万円( 67百万円)

(11)学校健康教育の推進 527百万円(670百万円)
児童生徒が学校生活を健康で安全に送ることができるよう、通学路の安全など学校における安全管理・安全教育の推進、薬物乱用防止教育の推進など児童生徒の健康の保持増進を図るとともに、児童生徒に正しい食事のとり方や望ましい食習慣等を身に付けさせるなど、食育の推進を図る。

(12)少子化に対応した活力ある学校教育の推進 2,555百万円(2,557百万円)
現下の少子化・人口減少社会を踏まえ、地域の実情に応じて、少子化に対応した活力ある学校教育を推進するため、学校統合を契機とした魅力ある学校づくりや小規模校における教育環境の充実を図る。

(13)高大接続改革の推進 5,750百万円(5,286百万円)
「高大接続改革実行プラン」(平成27年1月16日文部科学大臣決定)に基づき、高等学校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革を一体的に推進する。
◆高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための研究開発事業【再掲】 138百万円( 109百万円)
◆「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」プレテストの実施 851百万円( 新 規 )
◆大学教育再生加速プログラム(AP)「高大接続改革推進事業」 1,510百万円( 1,738百万円)
◆大学入学者選抜改革推進委託事業 250百万円( 300百万円)

(14)女性の活躍推進等のための環境整備 4,831百万円(4,249百万円)
放課後子ども総合プランの推進等、女性が安心して子供を育て活躍できる環境を整備するとともに、キャリア形成支援により女性の能力を最大限発揮できるよう支援を行う。あわせて、女性アスリートの育成・支援に取り組む。

2.未来への飛躍を実現する人材の養成
(1)国立大学法人の基盤的経費の充実(国立大学法人運営費交付金等) 1,097,058百万円(1,094,546百万円)
(2)国立大学の国際競争力の強化 1,000百万円(新規)
(3)国立高等専門学校における教育研究の推進 62,324百万円(62,118百万円)
(4)改革に取り組む私立大学への支援など私学の振興 430,369百万円(430,340百万円)
(5)初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成 21,875百万円(22,001百万円)
(6)グローバル人材育成のための大学の国際化と学生の双方向交流の推進 42,474百万円(44,158百万円)
(7)新時代の教育のための国際協働 401百万円(新規)
(8)諸外国・国際機関等との連携によるグローバルな人材の育成等 644百万円(635百万円)
(9)大学教育再生の戦略的推進 22,256百万円(24,650百万円)
(10)高度医療人材の養成と大学病院の機能強化 3,450百万円(4,042百万円)
(11)専修学校等の人材養成機能の向上 2,297百万円(2,222百万円)

3.学びのセーフティネットの構築
(1)大学等奨学金事業の充実と健全性確保 106,098百万円(102,270百万円)
※給付型奨学金の創設 7,000百万円( 新 規 )が大きな柱です。
(2)国立大学・私立大学等の授業料減免等の充実 43,621百万円(40,890百万円)
(3)高等学校等就学支援金交付金等 366,849百万円(367,973百万円)
(4)高校生等奨学給付金の充実 13,625百万円(13,127百万円)
(5)学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進 2,905百万円(2,605百万円)
(6)私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業 1,194百万円(新規)
(7)幼児教育の無償化に向けた取組の段階的推進〔再掲〕33,423百万円(32,272百万円)
(8)学校施設等の老朽化対策等の推進 120,206百万円(123,127百万円)

4.絆づくりと活力あるコミュニティの形成
・学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携協働 7,302百万円(6,983百万円)

他の予算も含めた詳細な資料は下記Webサイトをご確認ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h29/1376617.htm