高校生のための学びの基礎診断

「高校生のための学びの基礎診断」についてまとめられた文部科学省のサイトができました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1393878.htm

実施方針は下記の通りです。

【実施方針の公表に当たって】
「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,
・高大接続システム改革会議最終報告(平成28年3月)(以下「最終報告」)
・高等学校基礎学力テスト(仮称)検討・準備グループの論点整理(平成29年3月)(以下「論点整理」)
・「試行調査」の成果(平成29年1月~3月実施)
等を踏まえ,名称を「高校生のための学びの基礎診断」とし,以下に掲げる方針で実施に向けた準備を進める。

1.基本的な考え方
高等学校教育の質の確保・向上のため,高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築に向けた施策として,文部科学省において一定の要件に即して民間の試験等を認定するスキームを創設し,基礎学力の定着度合いについて公的な質保証がなされた多様な測定ツールの開発を促し,高等学校における活用を通じて,指導の工夫・充実,PDCAサイクルの取組を促進することとする。

2.「高校生のための学びの基礎診断」の概要
(1)趣旨・目的
「義務教育段階の学習内容を含めた高校生に求められる基礎学力の確実な習得」と「それによる高校生の学習意欲の喚起」を図るため,高等学校における多様な学習成果を測定するツールの一つとして活用できるよう,文部科学省において一定の要件を示し,それに即して民間の試験等を認定する仕組みを創設する。
高等学校における多様な学習活動を念頭に,民間事業者等から高等学校の実態に応じて選択可能な多様な測定ツールが開発・提供され,その利活用が促進されることを目指す。

(2)活用
各高等学校又は設置者は,それぞれの判断により,当該校の教育目標や生徒の実態等を踏まえて適切な測定ツールを選択して活用するものとする。なお,各高等学校又は設置者の判断により,多面的な評価の推進の観点から,認定された測定ツール以外のものを活用することを妨げるものではない。

(3)認定の枠組
①基準の設定及び審査方法の設計方針
基準の設定及び審査方法については,学校での利用しやすさの観点からの実施方法,学習指導要領との対応等の出題内容等,高等学校での利活用を念頭においた測定ツールとしての共通要件を確保しつつ,高等学校の多様なニーズを踏まえた民間の創意工夫が生かされるように設計する。
<基準・条件等の設定の考え方の概略>
◆実施方法
・学校での実施等,学校の実情に応じて利活用できる実施方法であること。
・学校にとって過度に負荷がかからず,安定的・継続的に実施できる方法であること。
◆出題内容・解答方式
・学習指導要領への対応等,制度の趣旨・目的に合致する出題であること。
◆結果表示・提供
・受検者の学習成果や課題について確認できる結果提供であること。

<基準や審査方法の検討に際しての主な論点の例>
・共通的に確保すべき基準と民間の創意工夫を生かしていく部分のバランス
・事前チェックと事後チェックのバランス
・質の確保と実施コスト(受検料負担)のバランス
・情報公開の在り方

②実施内容に関する取扱い
対象教科・科目や問題内容,解答方式,結果提供(表示),CBTの活用,実施回数・時期・場所,結果活用の在り方,受検料等の実施内容に関する取扱いについては,上記①の設計方針に基づき,「最終報告」や「論点整理」を基本として,関係者の意見や専門家の検討を踏まえ策定する。

<「最終報告」及び「論点整理」において示された実施内容の概略>
・円滑に導入する観点から,国数英で共通必履修科目を上限として開始。義務教育段階の内容を一部含める。
・知識・技能を問う問題を中心に,思考力・判断力・表現力を問う問題をバランス良く出題。難易度の異なる複数レベルの問題のセット。
・記述式の導入など多様な解答方式を採用。英語は4技能の測定を前提に検討。
・段階表示で結果を提供。指導の工夫・充実に資する情報提供。
・当面CBTは必須とはしない。検討・研究を継続。
・回数・時期,対象学年は学校が選択し,会場は学校実施を基本。
・受検料はできるだけ低廉な価格で。

③手続等
試験等を実施する民間事業者等からの申請に基づき,申請内容や申請対象となる試験等について確認を行い,基準に適合するものについて,「高校生のための学びの基礎診断」の一つとして認定する。
<具体的な手続の概略>
申請:試験等を実施する民間事業者等が,当該試験等について国が示す基準等に適合していることを示す書類等を申請書とともに提出する。
審査:国において,申請が形式要件を満たしているか,申請内容と審査対象となる試験等の内容に齟齬がないか等について確認する。申請内容の適格性を審査事項とし,例えば,問題一つ一つの突合審査等は行わない。
認定:確認の結果,申請内容に不備や事実と異なる点が見られなければ,当該試験等を「高校生のための学びの基礎診断」の測定ツールの一つとして認定し,文部科学省において認定ツール一覧に加えて公表する。(準則主義を採用)
点検:認定ツールの実施者に対し,毎年度事業概要の報告(実施校数,全体傾向,サンプル問題等)を求める。
取消:認定要件を満たさなくなった場合,申請内容に虚偽が見つかった場合等には,認定の取消しを行う。(事後チェックと認定取消の関係については要検討。)

(4)準備スケジュール
引き続き,平成29年度に実施する試行調査の結果や高校・教育委員会等の関係者,民間事業者等の意見を考慮しつつ,「高校生のための学びの基礎診断」検討ワーキング・グループにおいて専門的な検討を加え,同年度中を目途に認定の基準等を策定し,平成30年度中に認定制度の運用を開始することを目指す。

(5)その他
運用開始から3年経過後を目途に,実施状況について検証を行い,その結果に基づき,次期学習指導要領への対応等の必要な措置を講じることとする。
なお,「高校生のための学びの基礎診断」の結果の副次的な利用については,認定制度の着実な定着を図りながら,「最終報告」を踏まえ,高校生の学習意欲や進路実現への影響等に関するメリット及びデメリットを十分に吟味しながら,高等学校や大学等,企業をはじめとする関係者の意見も踏まえ,更に検討を行うこととする。

3.調査研究の推進
文部科学省においては,「高校生のための学びの基礎診断」の充実や高等学校における基礎学力定着の取組の充実に向けた調査研究を継続的に推進することとする。