学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第1回 11/7開催分)議事録 ※要点を整理しました。

文部科学省の「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」第1回 (11/7開催分)の議事録が公開されました。

会議の座長として堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授)、副座長として中川一史委員(放送大学教育支援センター教授)が選任されて始められた会議。
※配布資料はこちらからご覧いただけます。

まず、有松生涯学習政策局長から、社会生活の中でICTを日常的に活用するということが当たり前の世の中、子供たちが社会で生きていくために必要な資質・能力を育むために、学校生活や学習環境の中でICTの環境整備が不可欠であるという提言がされていることや、次期学習指導要領、「主体的・対話的で深い学び」、そしてプログラミング教育、という内容面でも、今後学校において、ますますICTを効果的に活用するということが期待されていることのご挨拶がありました。
加えて、第2期の振興基本計画を実現するための地方財政措置のご紹介や、自治体間の格差についてのご説明もありました。
最後に、「非常に大きいのが、ICT環境の整備指針というものを整備すること」という発言もありました。

続いて、会議の進め方が確認された後、磯情報教育課長から資料3(教育ICT教材整備指針(仮称)策定に向けて)、松本情報教育課長補佐から資料4(主な検討事項)に基づき説明がありました。

次に、高橋委員、中川委員からのヒアリングがありました。

高橋委員からは、学習場面でのICT活用について様々なシーンがあることを挙げ、
「学習場面としては、興味・関心から様々あってまとめまでということで、学習のあらゆる場面で使っておりますし、学級全体に対しての一斉の提示がほとんどかなと思っております。(教員の)ICT活用は、そのときどういうふうに活用されるのかといいますと、教科書とか教材等の提示がほとんどで、そのとき映す内容を提供するICTと大きく映すICTの両者できていますので、その両者の整備が必要だろうと考えております。」
「少し難しいのは、やはり児童生徒によるICT活用で、どのような学習場面があるのかと思っております。」
などの発言が見られました。使用された資料は資料5です。

中川委員からは、ネットワークの導入と運用についての話があり、
「ICTであることの主なメリットに情報共有ができるとか、それから、送受信など教室空間を超えられて使っていることです。」
「無線LANは先ほどのICTの指導ツール、それから学習ツールとしても、あるいは情報の共有場面でもインフラとしては必須であると考えています。」
「予算獲得のために庁内の折衝がうまくいかないといけません。」
などの発言が見られました。使用された資料は資料6です。

以下、自由討議の中での発言を抜粋してご紹介します。

・太田委員
「学習支援ソフトであるとか、協働学習支援ソフトであるとか、中には個別学習支援ソフトを使って、個に応じた学習に取り組ませるということもしていますが、何よりも環境があって、ソフトがあって、使えるような状況にならないと、単体だけ、端末だけあっても使えることにはならないのかと思います。」

・水谷委員
「本校でのICT活用をまとめますと、教員による提示は先ほどからお話があったとおりのことで、教科書、ノート、教材を拡大投影します。実物投影機を用いています。あとは指導者用のデジタル教科書、フラッシュ型教材等を使っています。児童による提示はもちろん最後の発表のところで、ノートやワークシートを実物投影機で全体に発表すること、そして最近は、端末で様々作ったものを直接プレゼンして発表するようなこともしています。児童用の端末では、一番多いのは、拡大提示していたものを端末で見ることですが、あとは今までノートやワークシートでやっていた様々な作業を端末上でやって、それを授業支援システムを使って全体で共有することをよくやっています。」

・柴田委員
「(高校の場合)学校がインフラを整備して、生徒のスマートフォンもつなげられるという環境が整えば、1人1台の学習環境というのはすごく近い状況にあります。」

・赤堀委員 ※ICT CONNECT 21 会長
「私どもはそんなことで、ここで枠組みを決めていただきましたら、企業にもうまく連携して伝えていきたい。また、企業からこういうことを言ってもらいたいということであれば、こちらの方でお話しさせていきたいと、そんな立場で少しコメントさせていただきました。」

・毛利委員
「先ほど水谷委員からのお話をお聞きしていて、ああ、そうだなと思った点がありまして、何から整備するかというお話ですけれども、やはりもしかしたらタブレットとかそういうものは、先ほどお聞きしたように、自分で持ってきたりするかもしれませんけれども、まずはそれが使えるようなネットワークとか」

・小崎委員
「市町村単位で、整備が推進できているというところと推進できていないところを考えたときに、例えば2つの市町村があるのですけれども、山添村というところは、2年前にはタブレットもないどころか、コンピュータ室もほとんど使われていない状態の村だったのですが、先日、小学校を訪問させてもらったら、ICTを使う、使わないというレベルではなくて、もうすっかりICT機器が日常使いになっていて先生が脇に抱えて授業をやっている。教室には大型提示装置が配備されていて、生き生きと授業に活用しているので、私のような指導の立場の者が、わざわざ学校に行ってまで助言するレベルじゃないと感じました。」
※そのように変わった理由として、「教育委員会の整備担当者が、ICTの必要性を理解した」「学校の管理職の先生が理解してくれた」「ICTを教育にどう生かすかという内容じゃなくて、これがあったらこんなに便利、紙も要らないことも含めて、様々なことに活用できるよね、というのを実感してもらえた」の3点を挙げられました。

・東原委員
「次の学習指導要領のことを考えれば、協働的な学びや表現力って大事ですから、そういうツール系のソフトと、コンテンツ系の2つにはなるかなと。もしデジタル教科書がもう少し進むのであればデジタル教科書と、教科書に準ずるようなコンテンツ、たとえば,ドリル教材のようなコンテンツとか、あるいはシミュレーションみたいなもの、その辺のジャンルが示せるといいのかなと。学校にひとつ必要とか、クラスに一つ必要とか、うまく区別をできるようにしておいて、ソフトウェアをもう少し重視できるような基準になるとありがたいということです。」
「コンピュータの整備の中で難しいといいますか、何とかしていかないといけないのはクラウド系」

・益川委員
「小・中・高、幾つもの学校に関わらせていただいているのですが、ICTが導入されることで、先生方の授業作りとか授業内容が変わってきているというふうに感じています。」

・山本委員
「様々な学びを進めていく中で、やはり課題をどう提示するかということが極めて重要だというふうなことを最近感じています。特にアクティブ・ラーニングを進める上では、教師がやはり優れた課題を提示して、それで学びが進むということが重要ということです。」

・下川氏(生田委員代理)
eスクールステップアップ・キャンプのご紹介

最後に堀田座長が次のように締めくくられました。
「ありがとうございました。一通り御意見頂きましたので、私、座長ですが、一言だけ少し伝えたいことがございます。それは、先ほど小﨑先生がおっしゃったこととも関係するのですけれども、この整備指針は、単純に機器のリストではないように見せるべきかと。つまり、これがICT活用のイメージを見せることになり、そしてそういう活動、新しい学習指導要領にふさわしい活動を推奨するものであるという形になるように、その根拠から見てこういうリストになるというところを大切にしていく必要があるかなと思いました。
 そういう観点で、どういうふうにまとめていけばいいかというのは、学校現場の声、実情、悲鳴のような担当者の声も含めてですけれども、あと技術的な見通しのこともあろうかと思いますので、委員の皆さん以外にも、また企業の皆さんにも御協力をいただく必要があるかと思いますが、そういう観点で、年度内に論点整理まで持っていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。」

詳細は下記Webサイトをご確認ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/037/gijiroku/1381123.htm